名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1791号 判決
原審において原審弁護人が被告人は本件犯行当時飲酒のため心神が正常でなかつた旨の主張をしたことは記録上明らかなことである。而して右の心神が正常でない旨の主張は所論のように単に心神喪失の主張ばかりでなく心神耗弱の主張をも含んでいるものと解すべきところ、原判決が所論のように被告人が本件犯行当時心神喪失の状態になかつた点のみを判断し心神耗弱の点については何等の判断を示していないことは記録上明らかであり、刑法第三十九条第二項によれば心神耗弱者の行為は其の刑を減軽す。とあつて心神耗弱は刑事訴訟法第三百三十五条第二項所定の刑の減軽の理由にあたるので心神耗弱の主張がなされたときは同法同条同項によつて之に対する判断を示さなければならないのに右説示のようにその判断を示さなかつた原判決には右の判断を示さなかつた訴訟手続上の違反がありその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであるので原判決は刑事訴訟法第三百七十九条第三百九十七条によつて破棄を免れない。